小川先輩

 小川先輩の人柄を一言で表すとすれば、それは「バカ」です。バカと言っても悪いバカではなく、良いバカです。道場においては、剣道バカを貫き通し、学校においては、人より一年長く在学するほどのバカっぶりでした。そして、何をやるにしても、人の印象に強く残ることをやってくれました。そのため、小川さんは、みんなに親しまれ、みんなの心を惹きつけてやみませんでした。
 今回、小川さんについて書くに当たり、小川さんのすばらしさをどうやって表せば良いのか迷ったのですが、数々の逸話をもとに、俳句を作ってその人となりを紹介していこうと思います。

流れゆく 小川の水は 酒の味

 小川さんと言えば酒、酒と言えば小川さんです。剣道部酒将の役目を十分に果たしておられました。酒を飲めば、剣道を熱く語り、人生を熱く語ってくれました。

流れ出す 小川の水は 汗臭い

 小川さんは人一倍汗をかいておられました。それは、単に汗っかきだということ以上に、剣道に、そして何事に対しても一生懸命だったということを表していると思います。

テスト後に 学校行けば 留年だ

 必修の化学のテストが、いつあるのかなあと思って、学校に行ったところ、その日にすでに終わっていたというのが留年の原因だそうです。その結果、小川さんと、一年遅れて剣道部に入った僕は、部活では三年目と一年目、クラスでは同級生と言う奇妙な関係となりました。

寝魔人は 電話の前で 力尽き

 小川さんは、眠るということに関して貪欲だったと聞きます。ある日、現五年目の先輩が小川さんの家に電話したところ、反応がないので、直接家に訪ねていくと、小川さんが、電話を取ろうとして、手を伸ばしたまま力尽きて寝ていたそうです。目を開けたまま眠る、現三年目の寝仏ことK走に勝るとも劣らない見事な眠りっぷりです。

トイレから 声が聞こえる 開けてくれ

 これは、酒に酔った小川さんが、自分でトイレの鍵をかけて、閉じ込められたと思いこんで、ドアをたたいて「開けろー」と叫んだという話にもとづいています。小川さんの酒の席での逸話は数多くあります。誰でも酒が入ればそれなりに変なことをやるのですが、小川さんがやると、なぜか強く印象付けられて、伝説になってしまう。そこに小川さんのすごさがあると思います。

雪印 入った途端 不祥事か

 小川さんは、雪印に内定が決まったそうで、おめでとうございます。先日、雪印は工場の管理の不徹底から大規模な食中毒事件を起こしてしまいましたが、小川さんは、会社の上にあぐらをかいて、仕事をおろそかにするような人ではないと思います。これからのご活躍を期待しています。

 最後になりますが、はなむけの言葉として、僕の好きな句をひとつ贈らせていただき、しめたいと思います。

世の中の 人は何とも 云はばいへ わがなすことは われのみぞ知る

 これは、坂本竜馬の句です。坂本竜馬にしても、織田信長にしても子供のころはバカと言われながらも、結局は世の中を変えるほどの大仕事を成し遂げました。僕は、バカが世の中を変えると思います。小川さんも、これからますますバカを磨いてがんばってください。