卒部論文

中谷 彰洋


 とうとう自分が卒部論文を書かなければならなくなりました。こういうものはなかなか書けないものですね。書いても書いても脈絡のない文章になってしまいます。受験勉強をしている時、私にはひとつ大きな目標がありました。「大学に入ったら、剣道部に入って、好きな剣道を思い切りする。」今思えば、なんと若い、と赤面してしまいますが、
とにかく当時はそう考えていました。
 そんなですから、入学すると自分は迷わず廣田剣道場の扉を開きました。それから卒部までの四年間、剣道部で過ごした日々というのは、非常に充実したものとなり、今となってはかけがえのない、宝となりました。
 はっきり言って、剣道部でこのような充実したときを過ごすことになろうとは夢にも思いませんでした。春の新歓合宿にはじまり、定期戦、七大戦…、月一回のペースで行われるイベント、日々の稽古、そうしたものを通していつしか気がついてみれば私の生活は剣道部を中心に回っていました。そして、本業である学問のほうは…最低限やっていたような感じでした。こんな事でいいのだろうかと悩んだこともありましたが、結局、剣道部から離れることはできませんでした。
 ある意味、大学生活の殆どを過ごした剣道部という場で私は多くのものを得ることができたので、剣道部にいたことによって失ったものに関して後悔する気持ちにはなりません。現役時は剣道について自分
なりに深く考えることができました。日々の稽古の中、目標を持ってそれに近づこうと努力した事、成果がなかなか見えず、焦ることもありました。よく、今行っている稽古は、数ヶ月先に結果が出るという話を聞きましたが、まさにその通りでした。成果が出たときは、たとえそれが小さなものでもうれしいものでした。
 また、先輩、同期、後輩の剣道に対する姿勢から学ぶことも多かったです。毎日の稽古をくじけることなく続けられたのも、皆で一丸となって稽古を作り上げていったからでしょう。大会、合宿、遠征で一つの目標に向かって部が一つとなって取り組み、それを成し遂げたときの喜びも、剣道部に入って良かったと思う事の一つでした。
 私が、そのように充実した剣道部生活を送ることができましたのも、同じ部員として時を過ごした先輩、後輩、同期、お忙しい中、時間を割いて私達との稽古、反省会に来ていただいたOB諸先輩の方々、そして、常に変わることなく私達をご指導くださった佐野師範のお陰です。この場をお借りして、深く感謝申し上げます。
 特に四年間、共に過ごした同期の皆には、私のような人付き合いも自己表現も下手な、気のきかない人間を受け入れてくれたことに感謝しています。誰一人が欠けたとしても、私にとっての剣道部での思い出は物足りないものになっていたでしょう。一人一人が私にとっては、大切な思い出です。
 ……話がうまくまとまらず、言いたい事もうまく言えませんでしたが、このあたりで話を終わりにしたいと思います。
 皆さん、今までありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。