卒部論文 『四年間』

吉澤 忠司


 過去何百名という人々を送りだし、毎年十数人の新入生を迎え入れる。文系、理系を問わず様々な性格を持った人々が集まるこの北大剣道部は不思議な力をもった、そして僕にとってかけがえのない存在であった。そしてこれからも僕のなかでそうであり続けることと思う。皆を一つの目標に向かわせる力、道場に自然と足を運ばせる力、どんな人でも受け入れる力、芸練によって自分を捨てさせる力・・・。このような力によって僕は4年間で少しは成長できたのではないだろうか。尊敬できる多くの先輩方、4年間一緒に乗り越えてきた真の友、そして可愛い後輩達を持てた。すべて剣道部に入部していなかったら得ることはできなかったことだ。
 いま卒部してみてこの四年間を振り返ると、いろいろなことに悩み過ごしてきたような気がする。そのすべてに答えが出たわけでは無いけれども自分の中でこう思えるようになってきた。何ごとも失敗を恐れず頑張ること、たとえうまく行かなかったとしてもそれは決して無駄では無いということ。目標に向かって前進していくことはとても大切であるということ。当たり前のように思えることだけれども、入学時におけるこの言葉に対するイメージと今現在のこの言葉に対するイメージは違うように思える。
 僕は先輩に『実らない努力は無い』と言われたことがある。いやそんなことはない。一生懸命練習したけれども試合では勝つことができなかったじゃ無いか。現に僕も、七大戦で勝つことを目標に、一生懸命練習してきたけれど結局一勝も出来ずに最後には選手を外されてしまった。頑張ってきたことが実らなかった?最初は苦い思い出であったが‥(いまでも門ちんをはじめ、応援してくれた皆さんにたいして申し訳なさでいっぱいです。)・・最近になってこのようにも思えるようになってきた。この努力は実ったわけでは無いけれども、僕のなかで深く根ざし、つぎの目標(実)を待ち、それに向かう努力(栄養)を欲しているように思えてきた。
 僕は凡人です。したがってうまく行くことばかりではない、しかし凡人はその根をできるだけ多くはやし、そして次につなげていかなく
てはならない。凡人は努力することによってでしか自分を輝かすことができない。結果がどうであれ人を気にしていてはいけない。そこで努力を止めてしまってはせっかく生えかけてきたそして次につなげようとしている根がその実を見ないまま腐ってしまう。
 僕にとってこの剣道部での生活は今後生きていくうえでの充電期間であったように思う。様々なことを吸収し、失敗を恐れないすこしだけ強い心を得ることができたような気がする。これから先、きっと多くの困難が待ち受けていると思う。
 しかし剣道部で送った生活を思い出したら何でも乗り越えて行けいけそうな気がする。そしてこれからも前進し続けていこうと思っている。
 最後に剣道の技術面だけで無く、楽しさを教えて下さった佐野師範、様々なことを教えて下さった先輩方、なんでもやさしく受け入れてくれた同輩の皆さん、本当にありがとうございました。また今道場で汗を流している後輩達、悔いの残らないような剣道部生活、大学生活を送って下さい。そしてこれらもよろしくお願いします。