中谷彰洋先輩

 「主務の仕事というのは・・・やりがいがありますよね。」
これは卒部生追い出しコンパにおける、札幌会館での私の中谷先輩に対するコメントです。当時、私は主務の役職を引き継いで数ヶ月、主務の仕事を何とかこなしつつも、副務の時に比べ、大いに増したその責任の重さを実感していました。特にその頃は、翌月に関東遠征を控えており、その実感はなおさら大きいものでした。冒頭の私の発言は、主務となった私の実感を述べたものであるとともに、「主務」として負わなければならない責任を全うされた中谷先輩に対する、一種のsympathyを表したものです。北大剣道部では各々が自分の役職を持ち、その仕事にあたるわけで、誰もがある責任を担っています。しかし、「主務」という役職についた私が、その仕事や責任を担うことについて最も共感しえたのは、同じ「主務」を経験され、その役目を果たされた中谷先輩だったのです。
 二年下の副務を指導しつつ、主務としての実務に携わるのは、仕事の分担や、引き継ぎの上で困難な面もあったと思います。私自身も、一年目にして副務となり、仕事をする上での不安もありました。しかし、「主務」としての中谷先輩の存在が、仕事における不安や、責任からくる重圧を軽減してくれました。やはり、副務にとって最も頼りになるのは主務の存在であると思います。
 中谷先輩の剣道に関して言うと、小手先の技に走らない、堂々とした剣風であると思います。追いコン時の試合では、七大戦引退後のブランクを感じさせない動きで、私は二本負けを喫し、自分の力不足を痛感したものです。
 ところで、中谷先輩と言えば、札幌北高校出身、札幌市在住の生粋の札幌市民です。私としては、某プロサッカークラブについてお話しする機会に恵まれなかったのは残念でした。それ以前に、元々あまりそのサッカークラブに関心がなさそうであったことはさらに残念、というか遺憾な所でした。ただ、私が部活よりも趣味を優先させた暴挙(『北斗』第三十三号参照。) については、さぞ呆れられたことでしょうが、その影では道産子(しかも札幌市民!)としての暖かいご理解があったものと信じています。
 大学院での研究に忙しい毎日かと思いますが、道場にいらした際には、ぜひ剣を交えたいと思っています。