剣道と自分

中田 剛司


 僕が剣道を始めたのは小学校三年だった。近くの自衛隊の駐屯地が始めた剣道教室だった。クラスの友達に誘われ、生徒二人で剣道を習い始めた。半年以上ジャージで足さばきと素振りだった。初めて道着と袴を着けたときの気持ちは忘れてしまったが、一年たって防具をつけるとき後から入った生徒も一緒に防具をつけたのが気に食わなかったのは覚えている。ボーリング場をはがした床で異様に凸凹していて足を切るのはしょっちゅうだった。
 五年生になり転校して、町の道場に通った。よくサボりもした。中学校に入り剣道部に入った。非常に先輩が厳しく、また先生も理不尽だったが、剣道は楽しかった。町の道場は青年部になり、ここで剣道を続けていて良かったと本当に思うことがあった。自衛隊で始めたときの先生との再会である。転勤されて、その道場に通い始めたと言うことだった。
 中学も転校して、次の学校の剣道部は悲惨であった。部員が少なく、何より活気がなかった。そんな中でも同期の人と頑張り、最後の年には一回戦突破!…できなかったが何とか部に活気を取り戻せたのが良かったと思っている。
 高校では臭い言葉になるが、青春時代の一部としてしっかりと記憶に焼き付いている。極かったし楽しかったしあっという間だった。  そしてここ北大剣道部である。飲んだ、食べた、笑った、泣いた、考えた。人に言わせると僕は人一倍泣きが多かったらしい。やはり青春だったと思う。そしてちょっと成長したと思う。
 こうして振り返って思うことは、剣道の修練で人間形成を行うのが剣道の理念だけれども、僕にはやはり剣道部に居る事で自分が育てられていたと思う。同期、後輩、先輩、先生とのつながりの中で。
 北大剣道部の中でも、同様だった。特に佐野師範には多くのことを学んだと思う。独り善がりかもしれないが。そして同期の人達には言葉で表せない気持ちがある。
 剣道を通した出会いが素晴らしいものであつた。これからもそれを期待して剣道を続けていきたい。そして自分との出会いが素晴らしい出会いだったと思われるように自分を磨こうと思う。